8日、トルコの米国大使館は、トルコ国内でのビザの発給業務をすべてとりやめました。これは米総領事館のトルコ人職員1人が当局に拘束されたことへの対抗措置とかんがえられており、たいする在米トルコ大使館も米国でのビザ発給業務を停止すると発表しました。
米国大使館は、特定の期限を設定せず、今後トルコで非移民ビザを一切発給しないとする声明を発表しました。これについて米政府は、「最近の出来事」により、在トルコ米大使館の職務と職員の安全に対するトルコ政府の責任を考え直す必要が生じたためだとしています。
非移民ビザとは、観光や医療、商用、短期就労または留学など、一時的な滞在を目的としてトルコから米国に渡航する人たちに発給されるビザです。
ビザの発給停止は、イスタンブール(Istanbul)の米総領事館に勤務するトルコ人職員をトルコ政府が拘束したことをうけた対抗措置とされていますが、米国大使館の声明でははっきりと「最近の出来事」とされており、その原因にはっきりとは言及していません。
トルコ政府は、拘束された職員が、昨年のレジェップ・タイップ・エルドアン(Recep Tayyip Erdogan)大統領にたいするクーデター未遂事件の首謀者で、米国在住のイスラム教指導者、フェトフッラー・ギュレン(Fethullah Gulen)師のグループとかかわりをもっていたとして、4日夜に拘束していました。職員は(ちょうほう)活動を行い、トルコ政府転覆をはかった罪で正式に訴追されています。
在米トルコ大使館は8日、米大使館のビザ発給停止に対抗して、米国人にたいする非移民ビザの発給業務をとりやめると発表しました。
トルコ大使館によると、制限の対象には米国内で発給されるビザのほか、パスポートビザと電子ビザ、さらに国境で取得したビザも含まれるということで、トルコ大使館のとった対抗措置は、米国大使館による措置よりもさらに厳しいものだとみられています。
これまで米国とトルコの関係は、トルコ政府がクーデター未遂の首謀者と断定した在米イスラム指導者ギュレン師の移送問題などをうけて、悪い状態がつづいていましたが、今回の事件でいっそう悪化することは避けられない模様です。