ハリウッド界で有名な俳優ケヴィン・スペイシーが、俳優のアンソニー・ラップに性的暴行をしたとして、ゲイをカミングアウトしました。その件で、LGBTコミュニティや各メディアなどから非難が集中しています。
この事件の始まりは、米Buzzfeedのインタビューに出演したアンソニー・ラップが、14歳のときにケヴィン・スペイシーに性的暴行をされかけたことを告発したのです。
32年前、当時スペイシーが26歳、ラップが14歳、スペイシーが自宅で開いたパーティーにラップは参加しました。パーティーでお酒を飲みすぎて酔っ払ったスペイシーは、ラップを無理やりにベッドルームへ抱きかかえ、ラップの上にまたがいました。だが、ラップは必死で抵抗しその場を逃げたそうです。
過去の性的被害を暴かれたスペイシーは、自身のツイッターで、「30年以上前の酔っ払っていたときのことなので、正直に言うと覚えていません。しかし、彼が言ったことを私がしたなら、彼に何年も不快な思いを抱えさせてしまって本当に申し訳なく思っています」と謝罪しました。
また、ラップの告白がきっかけで、カミングアウトに対する勇気が出たとし、「私はいままで男性とも女性とも付き合ったことがあります。男性とは私の人生を通して愛し合い、ロマンティックな関係を築いてきました。(最終的に)いまはゲイとしての人生を選んだのです」と、ゲイであることをカミングアウトしました。
この性的暴行事件は、カミングアウトとは全く別の物だとして、各メディアから非難が集まっています。
LGBTの自殺防止プロジェクト「It Gets Better」創設者であるダン・サヴェジは、ケヴィン・スペイシーの声明に対して、どれだけお酒を飲んでも、14歳の子供に手を出すのはひどい行為だと批判する声をツイッターで投稿しました。
また、英ゲイメディア「Gay Times Magazine」の編集長であるジョシュ・リバーズは、「この問題はゲイだからといって許されることではない。どんな性的指向であろうと、誰かを性的に狙い捕食動物のようにするのは悪い行為だ」と強く非難しました。
そのほか、オープンリー・ゲイの俳優のザッカリー・クイントは、「ケヴィン・スペイシーがこんな風にカミングアウトしたことが悲しく、心を悩ませている」とツイッターで長文を書きました。レズビアン映画『キャロル』の脚本家のフィリス・ナジーは、スペイシーが謝罪文を書き直してほしいとツイートしました。
この動きをうけ、Netflixはスペイシーが主演と製作総指揮をつとめる人気シリーズ『ハウス・オブ・カード』を、今シーズンで終了すると発表しました。
また、米TV界の最高である「国際TVアカデミー」も、スペイシーの国際エミー賞功労賞の授与をとりやめると発表しました。
以上のような著名人だけでなく、一般人からもSNS上で、「犯した罪とカミングアウトは別問題」や「カミングアウトすれば罪を免除されると思ったのか」など、厳しい意見が多くみられます。